雑文/詩


LOVE

思い返せばそう、何人の人を愛して来ただろうか。
一番印象に残ってるのは中学の時、初恋の女の子に二条城で会ったことだ。
別の中学同士でたまたま同じ日取りの修学旅行で。
向こうから俺を見つけてくれて声かけてくれてね。
あの頃の気持ちは本当にかけがえがない。
何回も告白したけど全部フラれた。
俺はすぐフラれる。
なぜならすぐ告白するからだ。
告白しないのは意味がない。

あの人に会いたい

僕は「会いたい」を「逢いたい」と書く人が嫌いだ。
なんか恋い焦がれてる感じがするから。
確かに「逢いたい」だと恋い焦がれてる感じがするから、そーゆー感情を表現したい人には良いのかも知れない。でも僕は恥ずかしいのだ。「会いたい」という言葉には色々な意味がある。友達に会いたい、有名人に会いたい、君とどこかで会いたい、など。その曖昧で軽い感じが僕は好きなのです。
一方「逢いたい」だとただ恋い焦がれて思い詰めている人に会いたい、の意味になってしまう。
それでは僕には重いのです。
恋い焦がれて打ちひしがれているほど会いたい人には大抵会えないものです。
いわば恋愛的死亡フラグなのです。
僕はそれが嫌だ。
だからね、「会いたい」の方の漢字だと、なんかフラットでいいでしょう?
会いたい相手は友達かも知れないし家族かも知れないし知り合いかも知れないし有名人かも知れないし。
でもそれで良いのです。
全ては曖昧でフラットでシンプルでライトで良いのです。
僕はどこかで誰かに会いたい。
でもそれはもし会えたらで良いのです。
フラットで良いのです。
明るく生きていこうよ。
「逢いたい」って漢字は恋い焦がれて過ぎてる。
どこかの街の街角であなたに会いたい。
ある晴れた日曜日の午後に。

2017.9.7


夢を見るのが怖い
私は夢を見るのが怖い
今朝お母さんが包丁を持って襲いかかって来た
愛犬のテヘロは目をうようよさせて吠えたてた
外から何者かが家屋に侵入してきたのを感じた
私の心のひだにお母さんの包丁が突き刺さった
私は咄嗟にテヘロを抱きかかえて外に出た
外は真っ暗だった
夜の山のように真っ暗で、
のっぺらぼうたちが徘徊していた
のっぺらぼうはとても背が高く、
およそ3.5センチメートルもあった
私とテヘロは面白がって彼らを踏みつけた
彼らは思っていたよりもずっと小さかったから
私は爪楊枝を取り出すと彼らを刺し続けた
一体何体ののっぺらぼうが私の爪楊枝の餌食になっただろうか
やがて夜が明けてきた
夜が明けると辺りには何もなかった
何もない空間の真ん中で私とテヘロは佇んでいた
私のテヘロは消えていた
私は一人だった
さて清々しいぞ、と私は思った
嫌いなやつらはみんな消えてしまったんだから
私は部屋を出てお母さんを起こしに行った
今日は日曜日だから、一緒にミルククレープを買いに行くのだ

2017.8.5.

SHE

 

彼女の名前はなんて言ったか

僕は忘れてしまった

遠い高校生の話だから

僕と君は校庭の中庭に座っていた

そしてそこでバナナオレを飲んでいた

その光景がずっと忘れられない

君はその時ゴールデンデニッシュを食べていたね

そしてそれを一切れちぎって僕にくれた

彼女の名前はなんだったか

早生まれの僕より一歳年上だった

僕は彼女のことが好きだった

たしか、苗字はN

下の名前はなんだったか

どうしても思い出せない

なぜなら

僕は彼女とは一度もしゃべらなかったから

ただ遠くから見ていた

美しい君のことを

君の関節が動くのを見ていた

体操着の中で

僕はあの中庭で

僕は一人で座っていた

雨粒が空から落ちてきた

僕は一人だった

遠い高校生の話だから

僕には思い出せない

ただ君は美しかった

 

2017.7.14


 

朝起きると僕は顔を洗う

歯を磨く

走る

帰ってきたら風呂に入る

キッチンには君がいて卵を焼いている

僕はひとりぼっちだ

全くのひとりぼっちだ

僕はいつも温かい家庭を想像している

そして幻想の中の君に手を伸ばす

テーブルの上のiPhoneが鳴った

今日の学校は休みになりました

死んでいた猫が校庭に埋められていたからです

僕はそんな本を読んでいた

温泉の中の図書室で

僕は静かに本を読む

救急車は来ない

猫はすでに潰されてしまった

僕の中に悲鳴が響き渡る

彼は僕だった

終わらない悪夢が鳴り止まない

電話が鳴った

 

そこで目が覚めた

キッチンでは君が卵を焼いている

道では猫がニャアと言いました

僕は目覚まし時計を止めた

さあ今日も一日が始まる

僕は顔を洗った

僕は息を止めた

そして吐き出した

素早く

 

2017.7.14